ベルガマ観光(アスクレピオン)(2002.12.15)
ポインターで写真を指差せば説明文が現れます
4.ローマ時代の医療センター・アスクレピオン
アクロポリスの丘を降りて、ベルガマのアスクレピオンの遺跡にやって来た。紀元前2世紀の前半のローマ時代に建てられたと言われていたが、最近の研究では紀元前4世紀に遡ると言われる。

医療の神アスクレピオスにちなんで建てられたこの施設は、神の声による心理治療の場でした。数々の遺跡の説明を聞くと、現代でも通用する心理療法を紀元前に実施していたとは驚きでした。

これらの建物が現在まで奇跡的に残ったのは、この窪地に雨が運んだ泥が溜まって何百年もの間地中に埋もれていたからだそうだ。
ここで行われた治療は、水や泥の入浴・体操・リハビリテーション等であった。
それらを神のお告げと思わせる心理的な療法もあわせて行ったらしい。

図書館と皇帝の広間。祈祷室。テレスフォロスとも呼ばれる治療棟。
聖なる泉と治療棟を結ぶ聖なる地下道にはびっくりした。この通路は殆ど損傷を受けていない。この地下道は天井がかまぼこ型になっていて、採光と換気のための穴が規則正しく並んでいた。聖なる泉で体を洗ったり、水浴や泥浴をした患者が治療棟に行くまでに冷えないように、また、暑い夏には患者が体を冷やす為に使われていた通路だ。
現代の病院にこのような患者の為の配慮があるだろうか。薄暗い陰気な病院の通路。拡声器による無味乾燥な呼び出しのアナウンス。

2000年以上も前のここでは、通路を歩く患者には心理療法として神のお告げ等を囁いていたというのに。
ミネラルの豊富な薬用水を飲んだり、体を洗った貯水池。この貯水池の南側には聖なる水の湧き出る泉があった。
暗示療法の睡眠と夢の部屋。そして患者たちの為の、劇や雄弁家たちの演説・討論会そして音楽会。
男性用と女性用のトイレの跡なども見た。フランスの中世ベルサイユ宮殿では、トイレが無く紳士淑女は庭の木立影で用を足していたと言うに。

これらのアスクレピオンの遺跡は、我々現代人に対する2000年前の強烈な皮肉とメッセージかも知れない。

ベルガマの見学の後、約200kmもバスで走って、本日の宿地中海のリゾートであるクシャダシへ向かった。
途中にトルコで3番目に大きなイズミルの都市を通った。ここはエーゲ海で一番大きな工業貿易都市で人口250万人らしい。

途中で寄ったトルコ石の店で、妻へのプレゼントとして1億2千万TLの石を買わされた。
クシャダシの宿は「ホテルエフェリスリゾート」。ここで私はトルコ風呂「ハマム」の得がたい経験をしたが、その話は後ほど。

(2003.1.4)
続く
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