7.世界遺産エヴォラ歴史地区(2003.1.22)
7.世界遺産エヴォラ歴史地区(2003.1.22)
セビリアを発ってバスはポルトガルに向かう。相変わらず両側はオリーブの栽培地。
添乗員の松本さんがポルトガルの一般的な説明をしている。
そうしたら突然「今スペインとポルトガルの国境を越え、私達はポルトガルに入りました」とのこと。国境を越えたら松の木とコルクの木が多くなった。

昔のように国境警備兵も居なければ、パスポートも必要ない。EU加盟国のドイツ(フランクフルト空港)へ入国した時は、入国審査があったが、ドイツからスペインへの入国は何の審査もなかった。飛行機から荷物の取り出し等でバタバタしていたからか、余り感じなかった。今回は陸路国境を越えた。ということはEU加盟国内なら何処へでも行けるということか。

そして通貨は全てユーロ。何か一つの国になったみたいだ。ちかじか形式的ではあるがEUの大統領も作るみたいだ。

今、アメリカがイラクを攻撃しょうとしている。国と国の戦争だ。宣戦布告なしの戦争というより、力ある国が言うこと聞かないからといって小さな国を武力で潰そうとしている。

もし国と言う物が存在しなければ、地球と言う一つの国しか無かったら、国と国の戦争なんか有り得ない。
民族や言葉そして宗教が違うから国は必要だというなら、民族・人種そのものを無くせば良い。地球と言う一つの国になり、自由に結婚できるようになり、何々人という言葉が意味をなさなくなったらどんなに良いだろう。白人も黒人も黄色人もない。皆同じ肌の人類だ。(私のいう意味はナチスがしたユダヤ絶滅とはまったく違うことは分かってもらえると思う)
言葉は英語や中国語といった固有な物でなく、昔一時はやった「エスペラント語」でもいいではないか。先日トルコへ行ったが、各民族を融和する為独自のトルコ語を作り、100年経たずして今は殆どの国民がトルコ語を話し書いている。

宗教の違いによる戦争も多くあるが、宗教は完全に政教分離とし、地球を作りこの緑の輝ける地球を守る共通の使命感を持って宗教(?)とすれば良いではないか。私は基本的に無神論者であるから良いが、神を本当に信じている人からすれば、神を冒涜していると言って非難されるだろう。しかし本来神は平和的であり、慈悲深いものであったのではないだろうか。それが権力と結び、国家と言う権力に追随し、他国侵略の手助けをしてきたのではないか。
トルコ・スペイン・ポルトガルを廻るうちに、宗教それがイスラム教であれキリスト教であれ、国と結びついて他国を侵略し、富を奪い、他国民を奴隷にしている現実を嫌と言うほど見せられた。特に異教徒に対する残虐な行為は目を覆いたくなるものだ。

国が違いながら、国境の無い通貨を同じとするここEUに来て、長い退屈なバスの中で、半分眠りながら夢想した。
先日経験したドンキホーテの世界の影響かも知れない。


突然、添乗員の松本さんの声で起こされた。「右前方に見えるのは、約8kmもあるローマ時代に作られた水道橋です」
やっとエヴォラに着いたのだ。

やはりローマ時代に作られた城壁が目の前に見えてくる。延々と続く城壁。古くはローマ人が支配した町。この城壁の中側が世界遺産のエヴォラ歴史地区か。天気が最高に良い。白壁に真っ青な青空が映える。

まず12〜13世紀に建てられた大寺院の見学。二つの塔。プライドの高い教会。門の両側に12人の使徒。磔にされたキリストの像。マリアの像。綺麗な輝くステンドガラス。宗教的な壁画、アーチ型の天井。全て荘厳な大寺院だった。

ローマ時代の遺跡としては、2世紀末に建てられた「ディアナ神殿」がある。14本のコリント式柱が優雅な佇まいを見せていた。しかし色は灰色にくすんでおり、先日トルコのアクロポリスで見た白亜の神殿に比べて劣っていた。
神殿のある丘の上から、世界遺産のエヴォア歴史地区(世界遺産ー5)が一望できた。

歴史地区を散策する。石畳の狭い道に、両側に白い壁の二階建てのアパートがあった。松本さんいわく「ここがかの有名なバスコ・ダガマの家です。」

町の中心の「ジラルド広場」で解散。自由時間となる。広場には鳩が多かった。
妻と私は城壁まで散策し、公園を通って広場に戻った。途中焼き栗を買い、ほおばる。小さな雑貨店に入り、バナナとソーセージを買った。バナナは歩きながら食べ、ソーセージは夜食のビールのつまみとなった。

リスボンに入ったのは夜だった。テージョ川に架かる「4月25日橋」を渡る時、キリスト像がライトアップされて美しかった。
本日の宿は連泊の「コリシア アルファ リスボア」であった。

(2003.2.5)
(記述日:2003.2.5)
(掲載日:2003.2.5)
続く
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