台風17号の磐梯山
台風17号が関東に上陸するという9月21日、8時21分の東北新幹線[やまびこ」で、妻と二人郡山へ向かった。
郡山より10時19分発、JR磐越西線で、猪苗代に着く。車中より眺めれば磐梯山がはっきりと確認出来た。明日は間違いなく雨,今日ならまだもつかもと考える。妻も同意する。
猪苗代に11時ごろ着き、タクシーで八方台まで6400円払って急ぐ。運転手はここから頂上まで1時間ぐらいと言う。標高1260m,11時半出発。
緩やかな広い道をゆっくりと二人で歩く。妻も頑張って歩く。1時間足らず歩いて眼下を見れば、桧原湖・小野川湖・秋元湖がはっきりと見えるではないか。裏磐梯の森と湖がおとぎの国の絵のように薄い霧の中に浮かんでいる。
疲れも吹っ飛んで又ゆっくりと登り出す。そろそろ妻の息が激しくなりだした。硫黄の匂いする中ノ湯を通り過ぎて、山道は急になった。
標高1500mぐらいで、途中で買った弁当を食べる。妻がいっぺんに元気になる。頂上が近くに見え出した。
降りてきた人に「後どのくらい」と聞けば、まだ1時間と答える。がっくりとなる。
ゆっくりと登ってやっと弘法清水の茶屋に着く。頂上はすぐそばだ。妻のリュックを担いで頂上を目指す。午後2時20分、やっと標高1819mの磐梯山に到達。妻も良くここまで登ってきたものだ。
台風が近づいているというのに、360度の展望は素晴らしかった。風は少しきつくなってきた。寒い。写真を撮って直ぐに下山する。
頂上の避難小屋の戸締まりに来ていた山男に聞けば、川上は先ほどの茶屋から降りるそうな。
茶屋まで降りて聞けば、今から(午後3時)川上に降りるのは危険だとのこと。道も迷いやすく又急な場所もあり、妻の足では無理とのこと。
やむなく八方台に降りるべく歩き出した時、例の山男が呼び止め、猪苗代への近道を連れて降りてくれると言う。喜んで好意を受ける。
急な山道を45分間、駆け下る。「熊出没につき注意」という看板を見ていた妻は、遅れては一大事と必死に附いてきた。
標高1450mぐらいのところに、山男の車が停まっていた。赤埴林道の終点らしい。猪苗代の駅まで送ってもらう。感謝感激雨あられ。
タクシーで五色沼に寄って、今晩の宿「ホテル白雲荘」に行く。
風呂に入り,おいしい夕飯を食べて早々に寝る.大満足。
22日、朝目覚めて外を見れば、ひどい雨。とてもこれでは、山登りは不可能。
昨日、無理をして登って本当に良かった。朝風呂に入り朝食後、妻とすぐ裏の乙女沼を散歩する。
9時25分発ホテル前のバス停より、今日から開催の会津秋祭りを見るべく、1時間半かかって会津若松の鶴ケ城へ行く。
しかし、城まで行くには行ったが、台風の為、祭りも中止、風雨も強く寒い。
せっかく来たので、千利休の次男、少庵の建てた茶室「麟閣」を覗き、急ぎ猪苗代に戻る。
猪苗代湖畔の「野口英世記念館」と「世界のガラス館」を見て、どんどんひどくなる一方のどしゃぶりの中、予定変更して猪苗代駅へ戻る。
ちょうど、3時3分発の郡山行き快速に飛び乗り、5時18分に上野駅に着く。JRで帰ろうとしたら、常磐線が不通?。
東京がそんなにひどい状態とは知らず、びっくり。大急ぎで、地下鉄で帰った。テレビでは台風情報ばかり、我々は、うまい具合に早めに福島を出てきて大正解だった。
(1996.9.25)
終わり
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