中央アルプスの南端に位置する恵那山。藤村に馴染みある恵那山。3年前恵那山登山に挑戦したことがある。
神坂峠から登り始めたが、途中から雨が降り出し、日帰り登山であったことと、単独行であった為、大判山で涙を飲んで引き返した。
今回サンケイ山の会から同じコースによる恵那山登山があったので、リベンジする為、申し込んだ。
10月20日朝6時半出発。例のごとく生駒駅に妻に送ってもらった。梅田茶屋町8時出発。今回は総勢14名。夫婦一組と男性8名、女性4名。珍しく男性が多かった。
名神・中央高速を通って妻籠(つまご)宿に着いたのが昼前。妻籠の駐車場で弁当を食べる。今回の添乗員は大洞さん。若い女性で岐阜出身。実家では「おおぼら」と言っているが、大阪では「だいどう」と呼んでいるそうな。リーダーは青森での例の角崎さん。
今日は妻籠宿から馬籠(まごめ)宿まで、観光がてら峠越え9kmのハイキング。妻籠や馬籠は十数年前家族で来て以来何回も来た事があるので、明日の足慣らしのつもりで歩いた。
中津川の駅前「つたや旅館」に泊まる。民宿の為、部屋は狭く風呂も小さい。東北の宿に比べてかなり貧素だった。
21日6時20分朝食。7時前出発。バスで神坂(みさか)峠を目指すも道を間違える。打ち合わせ不十分。
やっと神坂峠(標高1569m)に着き、8時10分に歩き出す。
鳥越峠で小休憩。前回涙を飲んだ「大判山(標高1695m)」を通過。私は最後尾を大洞さんと歩く。
トップがリーダー角崎さん。それから女性陣が続き、後半は男性。最後が添乗員の大洞さん。今回は最初から注意があり、このような順序となった。恵那山は標高2190mなので、神坂峠から標高差600mちょっとなので楽なコースと思いがちであるが、ピークを幾つも越える登り・降りの多い難しい山だ。
大判山から見える恵那山は直ぐ傍のようだが、前日のリーダーの話では充分3時間かかるとのこと。
ゆっくりペースで調子よく前進。紅葉も綺麗だ。片道7kmのあと2kmの標識手前で女性が一人太ももの痙攣を訴えて座り込んだ。
私は自分の足が痙攣した時の為、エアーサロンパスを持っていたので彼女の足に吹き付けた。そして剣の時のリーダーがしたように、彼女を正座させ後ろに仰け反らせて足を揉んであげた。
それらが少しは効果があったのか彼女はゆっくりと後を追うという。買っていた100円の梅干を全部上げて我々は出発。
大洞さんと彼女の友達が残って一緒に歩くことになった。
グループが二つに分かれ、私は自主的に最初のグループの最後尾に付いた。最後の登りは厳しく、72歳の川上さんが遅れ出した。私は彼を励ましながら一緒に登った。頂上小屋の手前で大洞さんと友達が追いついた。痙攣した彼女はゆっくりと登ってくるとの事。
私は多分往復コースなので皆が降りてくるのを座って待っていると想像した。
私がリーダーなら友達を付けてゆっくりと下山するよう指示するが。
やっと12時半に頂上小屋に着いた。ここから頂上まで10分だ。その時リーダーが降りてきて、「荷物をここに置いて、空身で頂上へ行き、降りて此処で昼食、そして1時出発」。
頂上に着いたら皆が弁当を食べているではないか。リーダーの言葉を伝えると「リーダーには従わない」というではないか。私たちも一緒に弁当を食べる。大洞さんに「ホホバ寿司」を貰った。酸味が利いて美味しかった。
頂上看板を入れて皆で記念写真をとって貰った。添乗員の彼女は「皆で居れば怖くない」とリーダーの指示に従わなかった。何か皆とリーダーの間にトラブルがあったのかも。
1時に小屋に戻るとなんと例の女性が登ってきているではないか。その根性に驚いた。「梅干が美味しく全部食べた。おじさんのお陰」と感謝された。彼女に対するリーダーの指示は一切なし。彼女はここまで来たので頂上へ行きたいという。その気持ちは良く分かるので、添乗員の大洞さんに荷物を預け、友達と一緒に頂上へ連れて行ってあげた。
降りは彼女の荷物を皆で手分けして持ち、ゆっくりと彼女のペースに合わせて歩いた。彼女がなんとか自力で降りるよう励まし元気付けて降ろすしかしょうがない。なんでも彼女は昨晩眠れなく一睡もしていないそうだ。
更に今朝の食事も殆ど摂っていない。
彼女は歩きながら寝ているようだ。何回か足を石や木の根っこにぶつけていた。私は直ぐ後ろを歩いてサポートした。彼女の友達がトップで2番目に彼女。そして私、最後に添乗員の大洞さん。2時間程歩いたろうか。小雨がちらつきだし、なんとなく暗い。
やっとリーダーが戻ってきた。
鳥越峠からのショートコースがあったので、私はリーダーに「バスをショートコースの降り口に回すようにしたらどうですか」と言った。
鳥越峠に近づいたら、65歳のベテラン「山屋」さんが私と同じ判断をして既にバスに向かって二人が出発したとのこと。我々は全員でゆっくりとショートコースを降った。
普通で歩けば20分ところを30分かけて彼女の足を庇いながら降りた。やっとバスに到着した時は大事に至らなくてほっとした。
帰りは途中の最近流行のクワハウスへ向かう。
アクシデントの為、運転手さんも調子がおかしくなったのか。遅れた時間を取り戻そうとしたのか。対向車を避ける為、ハンドルを切って谷川に車の前輪をスリップさせてしまった。自力で上がろうとエンジンを吹かしても動かない。下りて見ればもう少しで谷に落ちているところだ。かろうじて路肩で止まっている。ひやっとする。
皆が下りて重量を軽くし全員で車を押せばなんとかなりそうだ。皆の力でやっと脱出。
入浴しビールを一杯飲んで出発。途中の養老サービスエリアで20分間の休憩。混んでいた為、正味5分で熱いうどんを食べた。後は梅田まで寝て帰る。予定より1時間遅れの10時に梅田に着いた。
色々なことがあった100名山46座目の「恵那山登山」だった。
終わり
記述日(2001.10.3)
掲載日(2003.6.16)