加賀の名峰 - 白山登山(1999.8.28〜8.29)






日本三名山とは、駿河の富士山・越中の立山そして加賀の白山と相場が決まっている。
「蛭ケ野と呼ぶ白樺林の美しい高原」(深田)から、今年の春仰ぎ見た純白の白山と別山は、今年こそ登ってこいと招いているような神々しさだった。
深田久弥のふるさとの山であり、私にとって、100名山33番目の山としてこれほど相応しい山はない。
日帰り登山中心の私にとって、最低一泊は必要とする白山は遠く深い山だった。
車では、北から白山スーパー林道を通って、岩間温泉元湯迄近づき、南の九頭竜湖から石徹白の大杉まで入り込んでいた。

今年になって山らしい山に行ってなかった私に、京阪交通公社主宰の今回の「白山トレッキング」が目に付いた。
7月3日の分を申し込んだが大雨予想で中止、直ちに次回の8月28日分を申し込んだ。
団体ツアーであり、多少不安があったが、白山に登れるならと楽しみにしていた。

8月28日(土)、朝7時10分に京阪くずは駅集合。車で妻に送ってもらう。
京滋・名神・北陸自動車道を通って、福井北で降り、白山の西側にある白峰村で昼食をした。
総勢40数人のバス旅行。リーダーは岩崎さんに良く似た小柄な松井先生、同行者は西岡・向井の交通社ベテラン社員。このような団体には珍しく男性が多かった。

バスの隣の席は私と同じように、今回が初めてという京都北白川のTさん。道中いろいろ話しながら退屈しなかった。今回の山行きは楽しくなりそうな予感がする。

標高約1200mの別当出会までバスで入り、松井先生の指導でストレッチをして体をほぐし、午後1時過出発する。
砂防新道を進み、吊り橋を渡ってブナの林の中を30分程登って中飯場に着く。
団体の一番後ろをTさんと一緒にゆっくりと登る。先頭は若い向井さん。かなり早いピッチだ。
ストレッチをしたからか、ゆっくりペースが良かったのか、久しぶりの登山なのに少しもしんどくない。
ダケカンバの白い幹を見ながら、つづら折りの道を頑張って登ると別当谷の源頭である別当覗に着いた。
途中で雨が降り出し、雨具の上着だけ着る。今回は18リッターの小さなミレーのリュックを背負ってきたが、カバーを持ってなかったので、リュックが濡れてしまった。
見かねて女の人がナイロン風呂敷きを貸してくれた。Tさんは本格的に高山植物を撮影し、私はデジカメで簡単に記録する。
名前がとんと分からない。いつもその時は名前が分かればいいなと思うが、帰ってから図鑑等で調べた試しも無い。
もともと不精に出来ているらしい。

やっと甚之助小屋に着くが、少しも疲れていない。少休憩の後、南竜道分岐を通って、本日の宿である南竜山荘に着く。
霧がひどく途中は何も見えなかった。道がしっかりしていたから良かったが、荒れた道なら迷うとこだ。
標高2100m、ここまで登ってきた事をTさんとビールで乾杯。晩御飯を食べて早めに寝る。
山小屋泊まりではいつものことだが早く寝る為睡眠時間が十分だ。
下界と違ってひどく健康的だ。明日の天気を祈ってすぐに寝てしまった。

8月29日(日)朝5時起床。昨夜は大雨だったらしいが、私は熟睡していて気付かず。外は真っ青な青空。ベランダから見える別山が美しい。
昨日の道を少し戻り、エコーラインで弥陀ケ原を通ってハイマツの五葉坂を登りきって室堂に着く。
室堂から白山最高峰である御前峰(標高2702m)は目と鼻の先である。
鳥居をくぐり、ハイマツの中をぬうようにしてつけられた道を登る。岩と砂のジグザグ道を登って、念願の白山頂上に着く。
午前9時20分だった。Tさんと標識の前で写真を撮り合う。山頂からの眺望は素晴らしく、御嶽山・乗鞍岳・穂高そして槍の切っ先がはっきりと確認できた。これほどの展望は珍しい。

山頂での休憩の後、尾根道を北西に向かい、お池巡りと称する火口湖巡りをした。
剣ガ峰の岩山が荒々しい。翠ガ池のコバルトブルーの青さが眼にしみた。千蛇ガ池の融けることのない雪渓を見、お花畑を通って室堂に戻った。ゆっくりと散策していた為、昼食の時間は少ししか無かった。
室堂から黒ボコ岩を左に曲がり、甚之助小屋に降りてきた。団体行動の為、降りる速さが違い、遅いペースに合わせざるを得なく、登る登山者に迷惑をかけた。山道では車と同じく上り優先である。

甚之助小屋からは一本道の為、自由に降りてくれとのこと。別当出会迄の標高差800mを1時間で降りた。
久しぶりの為心配していたが、私の足はまだ大丈夫みたいだ。
皆が降りてくるまで、缶ビールと宇治金時を食べた。この一杯のビールの為、いつも急いで下山しているみたいだ。
白峰村で温泉に浸かり、ビールを飲みながら、Tさんと雑談し、寝ている間に大阪に戻ってきた。迎えに来てくれた妻と一緒に我が家に帰る。夜の9時過ぎだった。

簡単に憧れの白山に登れて大満足。又、山登りを再開しょうと決意する。

(1998・9・15)

              終わり






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