上州武尊山登山
東京に初めて単身赴任して来たころ、[初穂C.C]へ行く途中車中から見える大きな山と、「武尊山」と言う字を示されて、「何と読むか?」と尋ねられた。
「ぶそんやま」と答える私に、「あれはほたかやまー山好きでないとなかなか読めない」と椙山さんは教えてくれた。
「ほたか」とは北アルプスの「穂高」しか知らない私にとって、群馬県上州武尊山の名前は頭にこびりついた。
深田久弥の100名山に名を連ねていることを知った後も、アプローチの長さから又なかなか日帰り出来ないことから近づけなかった。
9月14日〜16日の三連休に登る山を物色していたとき、「朝日旅行会」の「上州武尊山登山」を知り、直ちに申し込んだ。
9月13日(金)夜8時に秋葉原に集合、43名の参加者と添乗員2人で関越自動車道を沼田I.Cで降り、午後11時半に片品温泉ホテルに入る。単独者ばかりの4人部屋で、温泉に浸かり、缶ビール1本飲んで少し雑談して寝る。朝6時に起き、温泉で顔を洗い、7時に朝食、7時半に出発。バスで武尊牧場スキー場まで行き、リフトを2回乗り,三合平(標高1480m)に着く。
ここ武尊牧場は牛や馬がコスモス咲き乱れる高原に三々五々散らばるのどかな場所だ。秋の気配が漂っている。
8時47分出発、ブナ林のなかの緩やかな登りを、ゆっくりしたペースで歩く。半数以上が女性で、ほとんどが中高年だ。
1時間程で田代湿原への分岐点に到着、ここで5分間休憩。Aクラスと言うこともあって、女性も含めて皆の装備は本格的だ。
私のリュックはミレーの18リッターだが、ほとんどの人のリュックは35リッターだった.
ペースは遅いが少しも疲れない.原生林の中をゆっくり登り、赤い屋根の避難小屋を通り過ぎて、10時47分にセビオス岳に着く。
ガスがかって頂上付近は見えなかったが,至仏山がはっきりと近くに見えた。
鳩待峠の小屋の屋根も確認出来た.
2個所のくさり場を通過して、11時40分に中の岳南肩に着く。竹の根で歩きにくい尾根道を頂上目指す。
途中笹清水(現地では菩提の水)で喉を潤し、日本武尊像(山の名前はここからきているらしい)の横を通り、12時半に武尊山(標高2158m)の頂上に着いた。
展望はガスでゼロ、写真を撮ってもらい、おにぎりを食べて下山する。
12時50分に5人の男性と下山する.セビオス岳のベンチで待つが、後続部隊はなかなか降りて来ない。
多分女性陣が鎖場で難儀しているものと想像する.20分ほどでやっと来た数人の女性達の「先へ行ってください」との伝言で、かなりのスピードで降りる。
団体登山のペースにいらいらしていたのは私だけでなかったみたいで、数人の男性陣は午前中の仇を取っているかのように走り降りた。
一人の女性登山家だけが付いてきた。私よりよっぽど経験があるみたい。
リフト下の茶店でビールを皆で飲んで後続者を待つ。
竜宮の湯で一風呂浴びて、バスに乗って帰る。秋葉原に着いたのは午後8時30分だった。
今回の山旅は皆がベテランだったこともあり、けっこう楽しかった。
2〜3人の山仲間と愉快に語り合えたし,ある女性からは道端の{つるりんどう}や「おやまのりんどう」の名前を教えてもらった。
今回の「武尊山」で22番目の100名山になる.数年間で完登したいものだ。
(1996.9.15)
終わり
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