名峰ー甲斐駒ヶ岳











深田百名山の内10座が南アルプスにあるが、私は一つも登っていない。今年の夏は、甲斐駒ヶ岳(2967m)・仙丈岳(3033m)・北岳(3192m)・間ノ岳(3189m)・塩見岳(3052m)の五つの山を登ろうと計画している。


まず深田久弥がぞっこん惚れ込んでいた「甲斐駒ヶ岳」に挑戦する。
朝日新聞を眺めていたら、朝日旅行会が「甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳」という登山を募集していたので申し込んだ。



7月26日午前7時40分に、妻と生駒駅で落ち合ってミレーのサブザックを返して貰って京都駅へ向かった。妻は友達と花の「尾瀬」へ生まれて初めて行って来たのだ。私が乗ってきた車に乗って妻が家に帰る。
バスで午前9時に京都駅出発。名神・中央道を通り、駒ヶ根インターで降りて高遠を通過し長野県の長谷村戸台口まで行く。そこで長谷村営バスに50分乗って、2連泊する「大平山荘」に着く。


総勢34名、いつものごとく女性が多く25名、男性が9名だった。独身男性が私を含めて5名。68歳・67歳・67歳・58歳と60歳の私。
明日からの登山に備えて今日は寝るだけだ。天気が良く山荘の前からの展望が素晴らしかった。穂高連峰が良く見え、槍ヶ岳の尖った鋭鋒がはっきりと確認出来た。
泊り客は満員で、私のスペースは半畳ぐらいだ。毛布2枚と枕を与えられた。午後7時消灯。直にいつものように熟睡する。

7月27日(土)午前4時30分起床。外の冷たい水で顔を洗い、荷物を整理し、朝食用の弁当を食べ、準備運動をして出発を待つ。
今日は快晴だ。ガイドは写真家の若松さん。
南アルプスの北部に位置する甲斐駒ヶ岳と仙丈岳は北沢峠を間に対峙する。大平山荘はこの北沢峠付近にあり、今日は甲斐駒ヶ岳に登る。


大平山荘の標高が約1950mなので、甲斐駒ヶ岳(標高2967m)の頂上まで標高差約1000mとなる。
焼岳・斜里岳・雌阿寒岳の標高差が皆約1000mであった。羅臼岳は1400mもあったので、登ることの不安は無かった。
5時40分出発。ガイドについて先頭グループでゆっくりと登る。北沢峠まではなだらかな道だ。丁度足慣らしに良い距離だ。
最初は樹林帯を歩き、ダケカンバが目立ち、双子山(2469m)を通過。尾根に出れば風が気持ちよい。
展望が最高に良く、10日後に登る予定の「北岳」と「間ノ岳」がくっきりとその鋭鋒を見せていた。鳳凰三山の地蔵岳にあるオペリスクもはっきりと確認出来た。あの巨石に初登頂したのは確かウェストンだったと思う。


其の向うにかなり大きく富士山が見えていた。そうここは既に山梨県なのだ。
8時33分に駒津峰(2740M)に着いた。標高差800mを約3時間足らずで登ったことになる。ゆっくりとしたペースだ。
私は先頭グループに付いていたが、14歳の娘をつれた40歳代の女性ともう一人の女性の4人だけだ。
皆はかなりしんどく疲れているみたいだった。
甲斐駒ヶ岳の白い山肌と岩稜が目の前に立ちはだかる。六方石という大きな岩が並ぶ鞍部に着く。ここから滑りそうな砂礫の斜面を登る。
最後に階段状の岩を登れば頂上だ。
10時17分、甲斐駒ヶ岳(標高2967m)の山頂を踏む。女性が多い団体の為、時間が掛かったが私は少しも疲れていなかった。
足の調子も良い。この調子なら100名山登頂も夢ではなさそうだ。
この山頂は360度の展望の良さで有名だ。天気は最高。
八ヶ岳から蓼科山、其の向うに浅間山。穂高連峰から槍ヶ岳、乗鞍岳に御岳。北岳に間ノ岳、鳳凰に塩見岳。見えないのは北岳に隠れている直そばの農鳥岳。もちろん富士山は大きくその端正な姿を見せている。富士山が立派過ぎて北岳が少し貧弱に見えた。むしろ明日登る予定の仙丈岳がどっしりと大きなカールを抱いて存在感を見せていた。
携帯で妻に登頂報告する。便利になったものだ。


11時5分下山開始。健脚組は魔利支天に寄ってから降る。私は当然そのようにする。
帰りは駒津峰から仙水峠を通る。途中で先行組を追い越し、仙水小屋で美味しい水を飲み、午後2時55分に長衛小屋に戻ってくる。
500円のビールを飲み、小休憩の後二人の友と先に大平小屋に向かって出発。
午後3時39分に大平小屋着。着替えて又ビールを飲む。今日は29151歩歩いた。
かなり遅れて三々五々皆が帰ってくる。
カレーの夕ご飯を食べ、満足感と心地よい疲労感で7時の消灯と共に熟睡する。




                           (2002.7.31)        終わり 








「深田100名山登山記録」ページに戻る