九州の深田100名山は登ったことがない。
たまたま名鉄観光で往復船旅の2泊3日「九重登山」があったので申し込んだ。
10月20日朝、出勤途上谷町4丁目の地下鉄駅コインロッカーにミレーのサブザックと登山道具を入れた紙袋を入れる。
夕方仕事を終えて、集合場所の「大阪南港フェリーターミナル」へ背広姿のまま行く。
待合室は登山姿の中高年のおじさんおばさん達だった。背広は私だけ。
添乗員さんに聞くと、バスに荷物を置いておくことが出来るので、明日の朝着替えたらと言うこと。
そのまま午後7時出発のサンフラワーに乗り込む。12人部屋の2等寝台に荷物を置く。
早速レストランへ行って生ビールと夕飯を食べる。定食でなく惣菜を選んで買うので結構高く付いた。
美味しかったので生ビールを2杯飲み、ほろ酔い加減でベッドに戻る。うとうとしていると放送で明石大橋がライトアップしていると言うのでデッキに出る。
デジタルビデオを少し回し、風呂に入って9時頃寝る。
10月21日、5時過ぎ朝風呂に入り、サンドイッチとコーヒーで朝食。6時20分、別府港に到着。
下船してバスに乗りこむと、なんと同じ会社のかっての部下I君が居るではないか。奇遇であった。彼は今月末に希望退職で当社を離れると聞いていた。
やまなみハイウエーで牧ノ戸峠へ行く。途中の景色は素晴らしかった。
立ち寄った休憩所でI君から今後の勤め先等色々話を聞く。
牧ノ戸峠は標高1330m、久住山への登山口。久住山はこれまで阿蘇山に隠れて目立たなかったが、近年脚光を浴びてきた。
久住山は九重か久住か、長い間山名の争奪戦があったそうな。今はなんとか山群の総称が九重山、九州一高い山が久住山となっていた。久住山の標高は1787mであるが、最近の測量で、近くの中岳の方が4m高い1791mであることが分かった。
しかし九重連峰の主峰はやはり品格からいって久住山であると思った。
ガイドは大分県山岳会副会長のKさん。まず舗装している道を沓掛山(標高1503m)まで登る。
I君と写真やビデオを撮りながらゆっくりと登る。総勢43名の最後尾だ。
天気は良く、抜けるような青空だ。おおらかな草原が広がる気持ちの良いコースだ。沓掛山から遠く阿蘇山がかすみ、三俣山が前方に聳える。カラマツ林を過ぎ、潅木帯を通って、西千里ガ浜と呼ばれる草原に出る。前方に目指す久住山が顔を出す。
硫黄山からの噴煙がもくもくと上がっているのが見え、ぷんと硫黄の匂いが鼻につく。ここまでで1時間半ぐらいか。
星生崎の下を超えて、避難小屋のある久住分かれに出る。ここを北へ行けばあの有名な「坊ガツル」だ。
目の前に三角形の堂々たる久住山が聳えている。一気に頂上を目指し、ガイドさんに付いて行く。
ガイドさんの足運びを参考にゆっくりと登る。気分はそう快。足も快調。30分で頂上に着く。
阿蘇山や祖母山・傾き山が印象的だった。頂上直下の芝生の広場で弁当を食べる。
私の持っていたビールを分け、I君から日本酒を頂く。
展望が良く、色とりどりの紅葉が美しく、ゆったりとした山々の姿が印象的で、登山と言うより草原の散歩と言う感じだった。
来て良かったと本当に思った。
帰りは別府温泉で汗を流し、別府港から夜7時、又サンフラワー号で大阪に向かった。
レストランでI君の送別会を二人でした。
22日朝6時20分に南港に着き、地下鉄中央線で帰り、妻の待つ我が家への帰宅は午前8時だった。
日曜日は一日ゆっくりと過ごせた。このような山旅もいいものだとつくづく思った。

終わり
(記述日:2000.10.25)
(掲載日:2003.2.19)