あこがれの大台ヶ原
近すぎて行けなかった山,いつでも行けると思っていた山,奥が深く簡単に行けなかった山,それが同じ奈良県にある大台ヶ原。
一度家族で頂上の駐車場まで行ったが,台風接近の為,急いで降りた山。
今年の夏休みにも,挑戦したが,その時は車の調子が急に悪くなり,途中で引き返した。
明日いよいよ妻と二人で行くことにする。
前日1995.9.1 大阪本店の営業会議に出席。久しぶりのため,かっての仲間と飲み明かす。午前様になって家に帰って来た。明日を楽しみに弁当を作って待っていた妻は,ごきげん斜め。
早朝出発の予定が日が高く登ってしまってからになってしまった。「行くの?」と拗ねる妻に,「当然!」と出発する。
国道24号線を南下し,郡山インターを潜り,橿原神宮前を通り,吉野の宮滝を横に見て,国道169号線を飛ばす。
ワサビ谷で大台が原へ向かう曾ての有料道路に入る。2時間半程かかっただろうか。涼しい木陰で弁当を二人仲良く食べる。30分で大台ヶ原駐車場に到着。
靴を履き,リュックを背負っていざーーとなって,何と妻は今日のために買った靴を忘れて来たという。文句も言わず,たまたまもって来ていた私の運動靴を貸す。
近畿の尾根,大台ヶ原は,日本有数の多雨地帯。この雨水が台地を潤し,木々を育てて原生林を作る。
大台荘の横の道から,日出ガ岳を目指す。幅2mほどの良く整備された平坦な道だ。周囲は全て原生林。信じられないほどの深山の趣。
妻と二人の為,いつもよりゆっくりと登る。やがて登山路はゆるい階段状の登りになり,日出ガ岳と正木嶺の間の鞍部に出る。ここから天気が良ければ,富士山が見えることもあるらしい。
日出ガ岳へは片道300mの往復だ。山頂には気象観測所と展望台があった。 360度の大パノラマだ。座ってお茶と残りの弁当を平らげる。
目の前の森の中に,鹿が3頭こちらをじっと見つめていた。丹沢塔ヶ岳の時もそうだが,最近鹿が増えてるみたいだ。弁当のおこぼれ目当てか。
元の鞍部に戻り,イトザサの密生する登山路をゆるやかに登り下りを繰り返し,正木ガ原に着く。
シラビソのたち涸れた古木があちこちにある寂しい所だ。時々バンビを連れた鹿に出会う。驚いて急に逃げ出す物もいる。
2時間程,散策しただろうか。尾鷲辻の分岐で,大蛇ぐらへ行かず,近道で戻ることにする。
たいした苦労もなく,こんなに自然を満喫できるとは,本当にうれしい。
妻もたいそう満足したみたいだ。特に途中のバードウオッチングが気に入ったようだ。
帰りは入の波の温泉に入り,気持ち良く満足感を味わいながら,奈良の我が家へ妻の運転で帰った。
終わり
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