おおらかで重厚な仙丈岳
今日は深田久弥が「おおらかで重厚な感じがする」と言っていた仙丈岳に登る。
昨日の厳しい登山で足を痛めた人等が数名リタイアする。
今日は昼頃には大平小屋に戻り、午後1時のバスにはどうしても乗らねばならない。其の為8時半には頂上に着かねばダメ。
添乗員の小野さん曰く「もし途中で8時半になったら、頂上を諦めて回れ右して降りてください」。
午前3時起床。朝食と昼食の二つの弁当を貰う。皆は持っていくようだが、私は朝食用の弁当を食べてしまった。力をつけるためと荷を少しでも軽くするためだ。

午前4時半出発。外はまだ暗く、ヘッドランプの明かりで進む。私はどうしても登頂したいため、ガイドの若松さんの直後ろに付く。
大平小屋横の「重幸新道」を行く。ここの小屋の先代のご主人が作られた新道だ。
ゆっくりと歩く。ただしかなりの急登だ。休みなしに登る。後ろが遅れだす。5時15分に一回目の休憩。標高2200m。45分で標高差250mだから決して速いペースではない。しかし遅れた女性達は「超特急」だと愚痴をこぼす。取り敢えず皆が登頂出来るよう、ゆっくりペースの女性二人にガイドさんと私の間に入ってもらう。
シラビソの原生林の中をもくもくと歩く。谷筋の為視界が利かない。ただヘッドランプは歩き初めだけだった。
時間を気にしてガイドさんは休まない。かなりの重労働だ。女性二人が遅れだす。先に行ってくれと言われる。
6時40分5合目に着く。川で水を飲む。美味しい。
ガイド氏曰く「このペースでは8時半には頂上に着かない。しんどい人はこの先の馬ノ脊ヒュッテで判断して欲しい」。
馬ノ脊ヒュッテで数名がリタイアする。

昨日に続いて天気が良い。展望が利きだした。目の前に大きなカールを前に仙丈岳が聳えている。
目標がはっきりしており足取りは軽い。途中に黒ユリが幾つも咲いていた。
7時52分、仙丈小屋に着く。300円の味噌汁が旨かった。
8時23分に頂上(3033m)に着く。後半はかなりのペースだった。トップ集団はやはり昨日と同じく親子連れの女性と私だ。
雲ひとつない青空。最高の眺望。昨日と同じく360度のパノラマだ。昨日登った甲斐駒ヶ岳が目に付く。感無量だ。
8時40分頂上を後にする。帰りは尾根筋を通って「小仙丈岳」を踏む。
急な坂をどんどん降る。足は突っ張る様子もないが、親指の皮が少し剥けたみたいだ。
帰りもやはり「なおちゃん」という娘と私がガイドに付いて行く。
11時50分長衛小屋に帰りつく。冷たい水が最高に美味しかった。仙丈の水はどこも素晴らしい。
12時5分に大平小屋に帰還。小屋の人達は速く降りてきたことに驚く。
なおちゃんのお母さんとビールで乾杯。旨かった。
帰りは戸台口の「仙流荘」で温泉に浸かる。駒ヶ根サービスエリアで天婦羅ソバを食べる。
夜9時半に何時もの様に妻に生駒駅まで迎えに来てもらう。

深田百名山53座目だ。今回の山行きは最高に天気に恵まれた。お陰で素晴らしい展望だった。
又、甲斐駒ヶ岳と仙丈岳を疲れもせず、足も吊らず登れたことに自信がついた。
出来れば今シーズンに70座まで目指したいものだ。そうすれば再来年のシーズン中に百名山を踏破出来るかも。
(2002.7.31) 終わり
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