魔の山ー谷川岳
谷川岳へ登るなど思いもよらなかった。
山岳小説では「遭難」と言うイメージで知ってはいたが,まさか自分が挑戦するとは。
1995:8:5 上野発7:10の「谷川1号」で水上へ行き,乗り換えて土合で降りる。
トンネルの中の薄暗い,ひんやりした土合駅。ながーあい階段を登って(462段)駅舎の外に出る。
国道を右に行き,土合橋で湯檜曾川を渡り,ゲートのトンネルを抜けると遭難者慰霊公園がある。
ここには「山の鎮」の像や慰霊塔などがあった。気が引き締まる。アスファルトの舗装道を行き,西黒沢を渡るとロープウエイの駅。
天神平まで一気に登る。3組の中高年夫婦と一緒だった。
天神平からあこがれの「耳二つ」が直ぐそばに見えた。30年ぶりの高山稜線−緑の絨毯−白い雲。 天神尾根をゆっくり上って行く。30分程で熊穴沢避難小屋に出た。標準コース時間とほぼ同じだ。自信がつく。小屋からは潅木の中の急登となる。天気は良く,1525mの小ピークで初めて休憩する。急登はなおも続き,小さな岩を二つ越えて,天狗の休み場に着く。新宿で買った弁当を食べる。
谷川岳を見上げれば,山頂に何か十字の様な物が見える。直ぐそこだ。急登をひと登りで広いガレ場となる。ゆっくり高度を稼いでやっと『肩の小屋』に着いた。十字は標識だった。小屋の上に広がる笹原の道を辿ってトマの耳に着いた。360度のパノラマを満喫した。しかし山の名前は分からない。知りたいと思った。
オキの耳へ行こうと思ったが,越後側から急速にガスが登って来て,何も見えなくなった。
午後1時半を過ぎていたので,名残惜しいがトマの耳を後にする。
帰り道は早かった。天神平で着替えて,ビールを飲む。
谷川岳の頂上を踏んだことで,何かやり遂げた気持ちで,じわっと満足感が広がり,久しぶりの爽快感を味わった。
山登りに夢中になりそうな予感がする。
終わり
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