紅葉の立山(2000.9.30〜10.1)






立山は深田100名山であるが、室堂までバスで行けるというので妻と行く事にした。
紅葉が素晴らしいという。嫁いだ娘も一緒に登りたいと言ったが、名鉄観光に申し込んだら満員だったそうだ。妻は膝が悪い為、立山の雄山(標高3003m)には登らず室堂でお花畑を散策して私の下山を待つ予定。

先日私は荒島岳に登ったが、急な登りの為、足が痙攣を起こし一人下山し、バスで皆の帰りを待った事があった。
退屈だった。それを聞いた妻は、立山登山は娘に譲ると言い出した。

9月30日(土)朝7時20分、梅田・茶屋町「プラザモータープール」で娘と待ち合わせる。私は梅田から歩いた為、時間ギリギリ。娘は心配していらいらしていたらしい。やっとバスに乗りこむ。

古くから駿河の富士山、加賀の白山、越中の立山は日本三名山と呼ばれた。富士山と白山は既に頂上を極めたが、立山はいつでも登れるという気持ちか未だ登っていなかった。

北陸自動車で立山ICまで行く。途中は娘と並んで、ワインを飲んだり、お菓子を食べたり、しゃべったり、景色を見たり、眠ったりだった。

午後2時頃立山高原バス道路(有料道路)に入り、途中弥陀ヶ原湿原(標高2000m)で散策。
まず立山カルデラ展望台に行く。可憐な高山植物が可愛い。それから1時か程をかけて尾瀬に良く似た高原の外回りコースを娘と二人散策した。
深田久弥はこの弥陀ヶ原を「美しい山上の大高原で、地塘が散在し、高山植物が咲き詰め、俗界から登って来た人々はここで天上にある思いをする」と書いている。まさしくその通りで、娘と私は感嘆の声を何回もあげた。

夕方に着いた室堂は霧で何も見えなかった。ウインドウヤッケを羽織っても寒かった。「玉殿の湧水」で喉を潤した。案内人の導きで、一寸先も闇の中を、今夜の宿である「雷鳥荘」に向かった。途中、地獄谷からか硫黄の匂いが強く漂ってきた。
宿は男女別々で、6人部屋にそれぞれ入った。私は早速温泉に入り、食堂で娘と向かい合わせで晩ご飯を食べた。食後談話室でストーブに当たりながら一時を過ごした。明日の為、9時ごろには就寝した。

10月1日4時半頃起床、ぐっすりと眠れた。夜中は大分降っていたらしい。朝、温泉に浸かり、6時に娘と向かい合って朝ご飯を食べる。水筒にお茶を入れ、弁当を貰って準備をする。

朝7時出発。小雨がぱらついている為上下の雨具を身に付ける。しかし一部の空には青空が広がってきた為、今日の天気の回復を予感する。
雷鳥荘から「みくりが池」の横を通って、石畳の上をゆっくりと歩く。朝早い為か、水が澄んでおり立山の雄姿を水面に映していた。北アルプスで最も美しいといわれる山上湖で、数々の伝説を秘めた神秘的な湖。1時間足らずで「立山室堂山荘」に着く。ここには元禄八年(1695年)金沢藩主の造営という現存の日本最古の山小屋があった。

帰りもここを通る為、娘と私の荷物を一つに纏め、300円を払ってリュックを預けた。
一の越までの緩やかな石畳の道を、まず私がミレーの「ディバッグ」を背にゆっくりと登る。美しい高山植物をビデオに撮ったり、雪渓に驚嘆したり、谷間の紅葉に見とれたりしながら、最後尾でゆっくりと登る。
約1時間で一の越に着く。天気はすっかり回復し、青空が広がり、周りの山々が姿をはっきりと見せはじめた。ただ剣岳の頂上は雲に覆われていた。暫しの休憩の後、目の前に聳える雄山の頂上(標高3003m)に向かって登り出す。

かなりの急登だ。高度差は約300m.標準コースタイムは1時間とのこと。
娘と私は先頭グループに付いて行く。先頭は中年のベテランおじさん。かなり早いピッチだ。しかし足を慣らしていた為か、空身の為か(娘の背にバッグ)、足が軽く前に進む。半分程登った所で二人のおじさんは休憩。
かなりしんどそうだ。娘と私は休憩なしでゆっくりと登る。雄山の頂上がぐんぐん近づいてくる。一の越から39分で稜線に飛び出した。遂にやった。稜線東側の高みに峰神社があり、ここが最高峰。一人500円払って参拝する。丁度今日で神主さんが下界に降りる為、最後のお祈りをしていた。神妙に手を合わす。

写真を撮り合い、展望を楽しみ(槍・穂高・乗倉・御岳等)、頂上を後にする。
下りの途中で添乗員の国米さんと会う。「みくりが池温泉」に浸かってくる旨報告する。

私は下りが得意だが、娘は膝が痛いらしい。この前の御岳さんの時は2ヶ月程後遺症が残ったらしい。緩やかな下りが応えるらしい。
みくりが池温泉は、白濁のまさしく温泉という感じだった。生ビールとうどんで乾杯。娘は弁当を食べていた。そこから室堂まで約20分。12時45分の集合時間前にバスに着く。

帰りに称名滝に寄る。バスから滝までの道のりがしんどかった。(温泉に浸かり、酒を飲んだ為)弥陀ヶ原の水を集めて落ちる300mと500mの滝は迫力満点だった。途中で買ったソフトクリームが美味しかった。
高速に乗って、夜10時頃に難波に着く。娘との楽しい山旅だった。


終わり

(記述日:2000.10.7)
(掲載日:2003.2.16)








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