遊楽の筑波山






この2ケ月半に,深田久弥の100名山の内,10山を登ったとは我ながら恐れ入るスピードである。
今日10月10日,体育の日は例年のごとく秋晴れである。東京の一人ぼっちの仮住まいで,天気の良い休みの日を過ごすのは侘しい。
3日前に那須岳をやったばかりなので,足を庇って近くの筑波山に行くことにする。
南千住から常磐線に乗って土浦まで行く。9:40発筑波山神社行きの臨時バスに乗る。1時間程で着き,神社に参詣する。
境内は杉の巨木が立ち並び,遠い神代の昔に建てられたことを思い出させてくれた。
『常陸風土記』の記事を引用して,深田久弥は云っている。『我が国では宗教登山が最初のように言われるが,筑波山のような大衆の遊楽登山も早くから行われていたのである。』

ケーブルで山頂の御幸ケ原に着く。土産物屋や回転レストラン等があり,生駒山上のごとく賑やかな所だ。
まず左側にある男体山(標高870m)へブナの林の中を登る。10分程で山頂に着く。狭いところだが祠があった。
いったん御幸ケ原に戻り,今度は右側の女体山へ向かう。やはりブナの巨木の間を登る。
途中にガマ石が大きな口を開けていた。女体山頂(標高876m)にも祠があり,巨岩の間に一等三角点があった。関東平野がはっきり見える見晴らしの良い山頂だった。秋風が心地良い。

11:30 下山開始。巨石・巨岩の急な下りだ。『ツーリスト』を履いてきて本当に良かった。
途中,大仏岩・北斗石・裏大黒石・出船入船石・胎内潜り・高天原があり,弁慶七戻石で巨石群から脱出した。ここから神社へ直接下る道を採る。約2kmの道は,先程の雑踏が嘘のような静かな山道だった。ブナや桧の巨木があり,満足のいく下り道だった。今日は少しも足が笑わなかった。
午後1時前に神社に戻って来た。神社前の『はつね』でおでんを肴にビール1本飲む。昼食は山菜ソバだ。
4時過ぎに私の仮住まいの南千住に帰って来た。駅前のスーパでお米とハムと少々の食べ物を買って帰る。シャワーを浴びて,洗濯して,山道具を整理して,このワープロを打つ。只今午後6時40分,おなかがグウグウなってきた。何を食べようかな。


(1995.10.10 )


終わり






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