東北の100名山14の内、これまで単独の「安達太良山」と妻との「磐梯山」二つに登ったに過ぎない。
1週間前の「岩手山」と「八幡平」は台風の為中止。それ故今回の二つの深田100名山「鳥海山」・「月山」と田中100名山の「羽黒山」は楽しみにしていた。
名鉄観光主催の今回の登山は往復共関空からの豪華版だ。費用62800円は割安だと思う。
私の住んでいる住宅の近所の高山サイエンスから関西空港直通のバスがあると聞き、今回試しに利用することにした。
会社を卒業して時間的な余裕は十分ある。
いつもの様に妻に車で送ってもらって、高山サイエンス7時35分発のバスに乗った。学研都市の京阪奈プラザ・登美が丘・近鉄学園前と奈良をぐるぐる回り、第二阪奈から阪神高速経由で関空に着いたのは、9時25分だった。1時間50分掛かったことになる。10時半の集合時間だったので喫茶店でモーニングを食べて時間をつぶした。
今回のツアーは総勢34名、3組の夫婦とやはり女性は半数近くだった。11時35分に関空を飛び立ち、12時55分に山形の庄内空港に着いた。私にとって山形県に入るのは生れて初めてだ。早速、松尾芭蕉の「五月雨を集めて早し最上川」の最上川舟下りを楽しむ。登山でなく会社の慰安旅行に来ているようだ。
田中澄江の「花の100名山」に入っている、出羽3山の羽黒山に行く。雨が降ってきた。カッパを着て、出羽3山神社から2200段の階段を登り、二の坂茶屋・鏡池を通って標高400m少しの羽黒山頂上に着く。結構苦しかった。明日の鳥海山は大丈夫か少し不安になる。
杉並木に覆われた宗教的な山で立派な五重塔があった。茅葺の神社も歴史を感じさせた。
今日の泊まりは湯の浜温泉のホテルだ。男3人部屋で和室の部屋。山小屋でなくまさしく旅館そのものだ。夕食も食べきれないほどの豪華版。ビールを飲んで早速の宴会だ。明日が早い為、午後9時半就寝。
8月31日、今日は鳥海山登山。朝から生憎の雨。朝食と昼食の弁当を持って、朝5時出発。
鉾立ビジターセンター(標高約1100m)を6時50分出発。小雨降る。カッパの上着のみ着ける。ガイドさんを先頭にゆっくりと歩く。本日の行程片道約7km。標高差約1200m。標準所要時間約4時間予定。
展望台・県境を過ぎ、賽の河原まで約1時間で到着。ここは6合目。標高約1400m。1時間300m標高差は私の標準ペースだ。疲れも無く、足もしっかりしている。このペースならなんとかなりそうだ。ここで最後尾が到着するまで待つ。最後の二人がやっと着いて少しで出発。30分程で御浜小屋到着。7合目。七五三掛(しめかけ)を通過して頂上小屋に着いたのは10時50分だった。
ガイドさんに付いて行ったのは私を含めて数人。このペースなら私は間違いなく健脚組だ。
小雨と霧の為途中の展望は無し。頂上は直ぐ目の前だ。
最後尾が到着するのを雨の中待つ。ガイドさんは小屋に入ったままだ。指示も何も無い。添乗員の竹内さんは最後を歩いている。当然まだ来ない。約40分遅れて最後尾到着。殆どの人が約30〜40分雨の中立ったまま震えながら待っていた事になる。風邪を引きそうだ。
待っている間に頂上アタックが十分出来た。添乗員とガイドさんの連絡ミスだし、団体行動の場合の各自のペースと行動方針の不徹底が問題だ。2〜3人の為に残りの30人の調子を狂わすのは如何のものか。
鳥海山の頂上付近はごろごろした岩山だ。先日登った剣岳以上の険しさだ。ただ鎖や梯子が無くても登れるルートだ。荷物(杖とデジタルビデオも)を全て預けて、両手をフリーにしてよじ登った。標高2236m。展望は相変わらず無いが、明るくなってきた。携帯電話で妻に登頂報告。
頂上小屋で昼食。寒くて食が進まない。おにぎり一つ食べただけで殆ど残した。
下山するに従って晴れてきた。御浜小屋まで降りた時、今登ってきた頂上がはっきりと確認出来た。満足感が湧いてきた。帰りもガイドさんに付いてトップグループで降りた。
昨日と同じホテルで今日も宴会だ。カニつきの夕食に満足。温泉に浸かり気分良く就寝。
9月1日、今日は月山登山だ。天気は回復と思っていたが、外に出れば雨。がっかりする。昨日と同じく5時出発。8合目の月山レストハウスから出発。雨の中、カッパを着て歩く。ガイドはボランティアの人だ。2時間程のコースなのでハイキング気分だ。
ゆっくりと団体の中ごろを歩く。30分程歩いたところで雨が止んだ。カッパを脱ぐ人が遅れていく。ガイドさんは休憩しない。数人の先頭グループと後ろを顧みずどんどん歩く。1時間が経った。まだ止まらない。前後の人たちから不満が出てくる。私はこのようなピッチは歓迎だが、あまりにも酷すぎる。先頭グループを追いかけて、やっと仏生池小屋で追いついた。ガイドさんに皆の不満を伝える。ベテラン氏は「ガイドさんが雨の為小屋で休憩させようと一気に歩いた」とのこと。健脚組みの女性登山家は「日頃鍛錬して付いて来なくては」と後ろの人の遅れを批判した。
いつもなら私は多分先頭グループだが、今日はゆっくりと皆と歩いていたが、決してばてたわけでも、足が吊って遅れた訳でもない。連絡や指示も無く一部の人たちと先に急ぐのはおかしいと思った。昨日の鳥海山登山の最終段階で2〜3人の為多数の人に迷惑を掛けるのと現象は違うが本質は同じではないか。私もこれを契機に考えよう。
月山頂上小屋に着いたら、晴れてきた。月山神社で500円払って、お祓いを受ける。
月山は出羽三山の中心で、標高1984mだ。私にとって深田100名山の43座目だ。
下山は意識的に最後尾に着いた。添乗員の竹内さんと話しながら降りる。30分程歩いた処で例の遅い二人が遅れてきた。私はストックをリュックに入れ、右手にデジタルビデオを持って高山植物を写しながら、ゆっくりと歩いた。ブービーは気楽だ。
男女二人の様子を気に掛けて見ていると、二人ともマイペースで歩いているだけだ。
添乗員さんなりガイドさんが注意すべきと思う。
今回の山行きでは、登山中のルールについて考えさせられた。
@. ガイドさんと添乗員さんは、事前の打ち合わせを具体的に行い、参加者に徹底させる。
A. 団体行動なので一部の人たちの意見で行動すべきでなく、多数の参加者を標準とする。
B. 登りと降りは登りを優先とする。
C. 二つの木道では右側通行とする。追い越しは右側からとする。(原則としてであって、女性や子供たちを安全側に歩かすのは応用動作)
D. 標高差300mを1時間〜1時間半で歩くのを標準とし、その間に5分以内の休憩を2回ほどとればいいのではないか。(私の場合は1時間で休憩は1回がベストピッチ)
降りのためか結果的には最後尾の二人も5分ぐらいの遅れで降りてきた。私はきれいな花を一杯撮れて大満足。
庄内空港16:40発、関西空港18;20着。上六行きのバス18;25発。上六で妻に連絡して生駒駅まで車で迎えに来てもらった。いつもの事ながら感謝感激。
明くる9月2日、妻の楽しみにしていた「おはら風の盆」を見に、富山へ行く。夜、艶かしい情緒ある踊りを堪能し、夜行バスで奈良に帰る。近鉄奈良駅5;19発の始発で帰る。
かなりの強行軍だったが、疲れは無い。
明後日からモンブラン・マッタホルンを見に、妻と二人でスイスへ行く。楽しみだ。
終わり
記述日(2001.9.3)
掲載日(2003.4.14)